時代小説にご存じ「鬼平犯科帳」シリーズがある。
長谷川平蔵が活躍する捕物帖だがけっこう好きなんですね、この作家さんの小説。
そのなかにこんなくだりがある。
お熊は手早く、平蔵と松永の御代りのと、そばがきを二つこしらえた。
さすが年の功で、こね方がまことに程よい。
きざみ葱を散らし、醤油をかけまわしただけの〔そばがき〕なのだが、
「こいつを、何年ぶりに口にしたことか……」
さも、なつかしげに箸で千切って口に運びつつ、平蔵がいった。
また、お江戸では蕎麦屋でまずイッパイというのがごく「普通」に行われているらしい。
関西ではうどん屋で一杯というのは、はやっていない。
ざるをたぐりながらの一杯もいいが、時間があれば揚げたての天ぷらを肴に蕎麦屋でイッパイというのがいいね。
で、そばがきである。
これでグビグビするというのは関西人でも楽しいもんである。
ましてそばがきが「久庵」のもので、それで蕎麦湯で割った蕎麦焼酎をグビグビ!とくれば、もうなにも言うことは、ない。
あったかい蕎麦湯割が寒い季節にはうれしいね。
久庵
078-531-7899
兵庫県神戸市兵庫区塚本通6丁目1-3